脱炭素社会と
サーマルリサイクルの限界
焼却によるエネルギー回収(サーマル)は国際的にリサイクルとして認められません。2050年カーボンニュートラル目標の下、燃やさない循環への移行が業界課題に。
出典:OECD / 経済産業省「グリーン成長戦略」
廃プラスチックを「燃やす」のではなく「分解」して資源へ戻す。それがケミカルリサイクルです。
なかでも私たちが提案するのは、排出現場のすぐ隣で完結させる「地産地消型」のアプローチ。
まずはその背景となる、廃プラスチックを取り巻く業界の現在地から整理します。
プラスチックは20世紀最大の発明のひとつでありながら、その大量廃棄が今、地球規模の課題となっています。 海洋プラスチック汚染、マイクロプラスチック、CO₂排出── プラスチックをめぐる課題は単なる「ごみ問題」ではなく、エネルギー・気候・資源安全保障の課題でもあります。 そして、その解決の鍵を握るのが「ケミカルリサイクル」という技術領域です。
焼却によるエネルギー回収(サーマル)は国際的にリサイクルとして認められません。2050年カーボンニュートラル目標の下、燃やさない循環への移行が業界課題に。
出典:OECD / 経済産業省「グリーン成長戦略」中国(2018年)・東南アジア各国の廃プラ輸入規制以降、日本は処理を国内で完結させる必要に。資源有効利用促進法(3R法)改正の議論も進行中。
出典:プラスチック循環利用協会 2024海に流出するプラスチックごみは年間800万トン超とされ、2050年には海の魚の総重量を上回るとの試算も。マイクロプラスチックによる生態系・食物連鎖への影響が深刻化し、流出を断つ「陸上での確実な資源循環」が世界共通の急務となっています。
出典:UNEP / エレン・マッカーサー財団日本で資源として再生できている廃プラスチックは、4つに1つ。 残りの大半は、焼却によるエネルギー回収(サーマルリサイクル)── 国際的には、リサイクルとして認められていません。
マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルを合わせた、「素材として再生される」廃プラスチックの割合。残り3/4は、燃料・熱として消費されるか、焼却・埋立てされています。
出典:プラスチック循環利用協会 2022年のデータを基に算出
リサイクルには3つのアプローチがあり、それぞれに役割と限界があります。互いに補完し合うことで、はじめてプラスチック資源循環は成立します。
| MATERIAL マテリアル | CHEMICAL ケミカル | THERMAL サーマル | |
|---|---|---|---|
| 処理方法 | 粉砕・洗浄・溶融して再原料化 | 化学分解で原料・燃料へ戻す | 焼却して熱エネルギー回収 |
| 対象廃プラ | 単一樹脂・汚れの少ない廃プラ | マテリアルリサイクルに適さない廃プラ・複合材 | あらゆる廃プラ(最終手段) |
| 回収される資源 | 再生樹脂ペレット(品質劣化あり) | 油・ガス・モノマー・金属 | 熱(電力・蒸気) |
| 水平リサイクル | 限定的 用途が限られる | 可能 新品同等品質も | 不可 素材としては失われる |
| CO₂排出 | 低 | 中 | 高 |
| 国際基準での扱い | リサイクル | リサイクル | 非リサイクル |
| 主な課題 | 異物・劣化・色付け対応 | 設備コスト・前処理・分散性 | CO₂排出・素材の喪失 |
粉砕・溶融で再原料化。低コストで普及しているが、汚れ・色・複合材には対応しづらく、品質劣化により用途が制限されます。
化学分解で原料レベルまで戻すため、複合材・汚れた廃プラ・難処理樹脂も処理可能。新品同等品質での水平リサイクルが可能な技術領域です。
焼却による熱回収。EU・OECD基準ではリサイクルに含まれません。日本の有効利用率87%の大半(約63%)はこのサーマルリサイクルです。
出典:環境省「プラスチック資源循環戦略」/プラスチック循環利用協会/DNP技術解説資料
ケミカルリサイクルは「夢の技術」ではなく、現実的な選択肢として業界の議論が始まっています。可能性と課題の両面を、誠実に整理します。
マテリアルリサイクルでは品質的に再資源化できない、複層フィルム・印刷物・汚れの強い廃プラも処理可能。
化学分解により、ナフサ・モノマーといった原料レベルまで戻せるため、品質劣化のない水平リサイクルが可能。
分解油・ガス・モノマー・炭素残渣・金属など、多様な資源として回収できる。原料・燃料・素材どれにも展開可能。
既存ケミカルリサイクル設備は大手プラントが中心。少量排出・地域分散の現場には適用しづらいコスト構造。
塩素を含む樹脂(PVCなど)の混入対策、含水率・異物の管理など、前処理プロセスの設計が品質を左右します。
大手プラントが拾えない少量・難処理廃プラを、現場で処理できる装置の選択肢が、まだ業界には乏しい状況です。
— BRIDGE —
この「小規模分散型ソリューションの不足」という課題に対する、
ひとつの答えが、私たち「みらいコネクト」の地産地消型ケミカルリサイクルです。