【大阪湾プラごみゼロを目指して】大阪湾の出入り口:加太・友ヶ島を現地視察。

約2ヶ月ぶりのブログとなりました。
お久しぶりです、みらいコネクトの古谷です。

今回は、タイトルにも記載の通り、海洋プラスチックごみのリアルな現場を見てくることができました。

大阪大学の宇山浩教授が主導して進める「大阪湾プラごみゼロを目指す資源循環共創拠点」に当社も参画していることから、縁あってこの度視察に参加させていただくことができました。

視察をさせていただいたのは、和歌山市北部に位置し、大阪府との県境にある「加太(かだ)」から船でアクセスすることのできる、「友ヶ島(ともがしま)」という無人島です。
友ヶ島は、加太と淡路島の間にある島で、北側は大阪湾、南側は紀伊水道を経て太平洋に面する、まさに大阪湾の出入り口に位置する島です。

そのロケーション故に、大阪湾へ流入・流出する海洋プラスチックごみの通り道となっており、大阪湾プラごみ問題に取り組み上で、必ず知っておく必要があるポイントです。

より多くの人たちにもリアルな実情を見てもらいたく、たくさん写真を撮って帰って参りました。
今回勉強をさせていただいた内容を、可能な限り詳しくご説明できればと思います。

それでは参りましょう!

いざ、友ヶ島へ

友ヶ島は、地ノ島、虎島、神島、沖ノ島の総称名です。
この中で、誰でもアクセス(上陸)可能なのは沖ノ島だけです。
今回の視察内容としては、沖ノ島の北垂水海岸南垂水海岸、それから、地ノ島を海から観察するという内容でした。

まずは、沖ノ島からです。
沖ノ島へは、加太港から運行している友ヶ島汽船に乗って向かいます。

天候にも恵まれ、船窓から島と海の景色を眺めること20分、気がつけば沖ノ島に到着していました。

上陸した桟橋から見える沖ノ島の景色。
無人島らしい、開拓されていない原風景が目に飛び込んできます。

友ヶ島は、人気アニメ「サマータイムレンダ」の舞台「日都ヶ島」のモデルになっており、今や聖地として作品のファンが集まる場所にもなっています。

人気スポットになることはすごくいいことだと思いますが、船での移動中にうっかり海へ落し物、なんてことが無いように注意して欲しいな、とそんな事を考えてみたり。

上陸してからは、少し険しめの山道を歩きながら、まずは北垂水海岸を目指します。

徒歩で一山超えて海岸へ向かう道中、山の上から海を見下ろしている段階で、大量のごみが漂着していることがわかります。

北垂水海岸の視察

北垂水海岸に到着してまず思うことは、シンプルにすごいごみの量だなということです。
日常的な人のアクセスがあまりない事、それから先述の地理的な立地のおかげだと考えられます。

今回の視察では、一般社団法人加太・友ヶ島環境戦略推進会「KATIES(ケイティーズ)」の代表理事であり、大阪公立大学の教授でもある千葉知世先生に各海岸のご案内、ご説明をいただきました。

北垂水海岸は、その名の通り沖ノ島の北側の海に面した海岸であり、北側の海といえば、大阪湾です。

正面に見える陸地は、淡路島。

画像の右手側方向の海が、淀川や大和川といった大阪の大きな河川と接続しており、それらの川からたくさんの生活系プラスチックごみが流出し、潮流にのって北垂水海岸までたどり着きます。
このため、北垂水海岸に打ち上げられるプラスチックごみは「国内排出のもの」が多いです。

北垂水海岸の緩やかな傾斜と、粒の小さな礫浜である地理的な要因もあいまって、小さながプラスチックごみもトラップされて、潮の満ち引きや風等、時間とともに海岸の奥へ奥へと打ち上げられ、どんどん植生と絡んでいきます。

北垂水海岸の全容。

クローズアップすると、無数のプラスチックごみが打ち上げられていることがわかります。

河川敷などから川に打ち込まれ、回収することができなくなったと思われる、軟式ボールやソフトボールもたくさん。

樹脂製のポールや、大量の寸法が整った竹がたくさん。地元の漁師さん曰く、瀬戸内海で行われている牡蠣の養殖用の生簀に使われるものだそう。

千葉先生曰く、なんと、1ヶ月に350〜400個のプラスチックごみが打ち上げられるそうで、全てを綺麗にさらっても、3ヶ月後には元どおりになっているとのこと。
クリーンアップの効果も僅かに数ヶ月しか持続しません。

よく見受けられたアイテムとして、

  • ペットボトル(めちゃくちゃ多い)
  • ペットボトルのキャップ
  • 日用品の包装:洗剤や食品
  • ビニール傘
  • スリッパや靴(川遊び中に流出した?)

大阪で暮らす者として、「そもそもごみを流出をさせない」ことの重要性を痛感します。

南垂水海岸の視察

次に、反対側の南垂水海岸です。

南垂水は北垂水に対して、真反対側に位置しますので、面している海は紀伊水道、およびその先にある太平洋ですので、北垂水海岸を比べて「海外からのプラスチックごみ」も目立ちます。
黒潮の流れに乗ってくるものと考えられています。

ハングルで記載されたPETボトル。

中国語と思われる記載があるPETボトル。同時に排出されたと思われる2つのボトルですが、長旅を経て仲良く漂着してるのが、潮の流れの不思議ですね。

過去のKATIESの調査では、東アジアや東南アジアが多く、中国、韓国に加えて、マレーシアやタイ、またロシア語の表記があるごみも確認されているようです。

また、南垂水海岸は、緩やかな北垂水と比較して、海岸の勾配がきつい急峻な地形になっており、加えて石がゴロゴロと大きな礫浜であるため、漁具等の大きなごみが溜まりやすいとのことでした。

言われてみると、北垂水海岸にはなかったアイテムです。

それでも、やはりPETボトルなどの細かいプラ製品の漂着は多く確認できました。
またその中で違和感を感じたのは、使いかけや飲みさしのものが非常に多くあったことでした。

海上からの地ノ島の視察

午後からは、地元の漁師さんの漁船に乗せていただき、海上から地ノ島の海岸を視察させていただきました。(午前中は視察に加えて、沖ノ島にて太平洋戦争時代の砲台を見たり、昼食は新鮮なお魚料理をいただいたりとトピック盛りだくさんでしたが、こちらは泣く泣く割愛させていただきます。)

地ノ島は、環境省の許可無く上陸してはいけないため、クリーン活動を実施することができず、海洋プラスチックごみの”原生”の姿をみることができます。

特に、潮流の影響から大量のプラスチックごみが漂着している「土佐の泊り」と呼ばれる一帯は衝撃的でした。

画像ではすごく分かりづらいのですが、明らかに先ほどまで視察していた沖ノ島の海岸とは様子が違います。
ごみの量が、比較にならないほど多いということがわかります。

地元漁師さん曰く、やはり大阪側からの漂着ごみが圧倒的に多いそうです。
海からは遠く感じられる山に不法投棄された廃棄家電類などでも、台風や大雨の影響で河川に流れ出し、行き着く先が地ノ島だったりすることもあるそうです。

逆に、地ノ島に漂着していなければ、場合によっては太平洋に流れ出ている可能性もあるということで、そうなると手の施しようがありません。

また、加太港へ帰る前に、漁師さんが海から見ることのできる、色んな表情の友ヶ島をツアーしていただけました。

たとえば、海から見る虎島!

友ヶ島は、自然はもちろん、近代歴史の文化的価値もあり、さらに近年はアニメの聖地となったことから話題を集める島ですが、実はさらに古い歴史としては、日本遺産「葛城修験(かつらぎしゅげん)」のはじまりの地でもあるんです。

葛城修験の側面から友ヶ島を語るときに重要となるのが、普段観光客が訪問できない「虎島」です。

画像は、葛城修験の行場である「観念窟(かんねんくつ)」の上にある崖で、修験者の人たちは、この崖を登って行く修行をするそうです。

その崖の中腹に、文字が掘られているのがわかるかと思いますが、実はこの文字、「この島を汚してはならない」という意味の文字が掘られているそうです。

その島が、今はプラスチックごみが漂着しまくっている状況です。

また、最後に、午前中に見た南垂水海岸を海から見せていただくことができました。
そこで、びっくりしたのは、なんとごみが全然無いこと。

午前中、あんなにごみだらけでびっくりしていた海岸が、海側からみると、これまで地ノ島を見てきて基準がボケているのか、何も無いようにすら見えました。

海からは見えない細かなごみのことを考えると、いかに地ノ島の手付かずの海岸が、ごみで溢れているのかがわかります・・・。


さて、大変貴重な体験ができました。

この場を作っていただきました宇山先生、千葉先生、旅全体をコーディネートいただきましたKATIESの益田様、シーガーズの学生の皆様、ありがとうございました。

みらいコネクトにできることとして、一層、プラスチック再資源化により「ごみに価値を持たせる未来」を目指し頑張っていきたいと感じた1日でした。

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